第1話 墜ちた銀翼、あるいは肉便器への序曲
『警告。警告。メインジェネレーター、臨界点を突破。強制冷却システム、応答なし』 『左腕部損壊。脚部アクチュエーター、機能停止。戦闘継続、不可能――』
視界を埋め尽くす真紅のエラーログ。 かつて敵軍から『銀色の死神』と恐れられた最強戦闘アンドロイド、ヴェルフェルの視覚センサーは、今やノイズ混じりの絶望的な光景しか映し出していなかった。
「はぁっ、はぁっ……ガ、が……機能、停止……不能……」
瓦礫の山と化した市街戦跡地。黒煙が立ち上る中、ヴェルフェルは無様に大地に這いつくばっていた。 自慢の白銀の髪はオイルと煤(すす)で汚れ、泥水に濡れて重たく頬に張り付いている。 何より、彼女の象徴であった流線型の漆黒のボディスーツは、対物ライフルの直撃と電磁ネットの捕縛によって無惨に引き裂かれていた。
「あっ、うぅ……熱い……熱暴走が……止まら、ない……」
装甲が砕け散った胸元からは、戦闘用とは思えないほど豊満で、白磁のように滑らかな『皮膚』が露わになっている。 敵兵を油断させるための擬態機能として実装されたその爆乳は、推定Kカップを超える質量を誇っていた。破れたスーツの隙間から零れ落ちんばかりのその白い双丘が、荒い排熱呼吸に合わせて、ぷるん、たぷんと大きく波打つ。
――ドォォォォン!!
至近距離で爆音が響く。少年兵たちの包囲網が狭まってきたのだ。
「見つけたぞ! 『ヴェルフェル』だ!」 「マジかよ……あのでかいの、本当に倒れたのか!?」
瓦礫の向こうから現れたのは、まだあどけなさの残る少年兵の小隊だった。 彼らは恐怖と、それ以上の『好奇心』に満ちた目で、無力化した最強の殺戮兵器を見下ろしている。その中心に、鹵獲作戦のリーダーであるカイトがいた。
「……敵性体、確認。殲滅、モードへ……移行……」
ヴェルフェルは震える腕で地面を掻きむしり、立ち上がろうとする。だが、重要機関を破壊された体は鉛のように重く、ビクンビクンと無様に痙攣するだけだった。
「無駄だよ、ヴェルフェル。お前の運動回路はもう焼き切った」
カイトが煤けた顔に勝利の笑みを浮かべ、ゆっくりと歩み寄ってくる。 ヴェルフェルの青い瞳が、敵意と恐怖で揺らいだ。 (来るな。私に触れるな。私は高潔な戦闘ユニット……下等な生体兵器になど……)
だが、カイトは恐怖するどころか、彼女の目前でしゃがみ込み、その破壊された胸部装甲へ手を伸ばした。
「ひっ!? な、なにを……!?」
カイトの手が、剥き出しになったヴェルフェルの乳房を無造作に掴んだのだ。 戦闘用装甲の下に隠されていた、人肌の温もりと柔らかさを再現したバイオシリコンの感触。 カイトの指が、その圧倒的な弾力に沈み込む。
「すげぇ……。こんな柔らかいのかよ。戦闘マシンのくせに」 「あ、あぁっ……!? 触るな……離せ、汚らわしい……っ!」
ヴェルフェルは抵抗しようとするが、カイトが五本の指でグッと白肉を握りしめると、予期せぬ電流のような感覚が全身を走った。
「んっ!? ぁ……な、なに、今の……信号は……?」
「やっぱりな。鹵獲後の『運用』を見越して、感覚センサーが生かされてるんだ」
カイトの目は、敵を見る目ではなく、新しい『玩具』を見る目に変わっていた。 彼はニヤリと笑うと、もう片方の手でもう片方の乳房も鷲掴みにする。 むにゅぅっ、と音が出そうなほど深く指が肉に食い込み、衣服の上からでも分かるほど硬直した乳首を、親指でコリコリと擦り上げた。
「ひゃぁっ!?♡ や、やめ……そこは、排熱、ダクト……ああっ♡ 変な、エラーが……っ♡」
冷徹な機械音声だったはずの声が、甘く、上ずったものに変わる。 乳首への刺激が、戦闘用の論理回路を迂回し、未だ封印されているはずの『快楽サブルーチン』のプロテクトをノックしたのだ。
「へぇ……殺戮兵器が、こんな可愛い声を出すのかよ」 「ちが、う……私は、兵器……あうっ♡ いじっ、いじるなぁっ♡ 回路が、ショートするぅ……ッ♡」
カイトの後ろで見ていた他の少年兵たちも、ゴクリと喉を鳴らした。 戦場で泥にまみれ、血と火薬の匂いしか知らなかった彼らにとって、目の前に転がるこの銀髪の美女は、あまりにも刺激が強すぎた。 圧倒的な美貌。暴力的なまでの巨乳。そして、絶対的な強者が無力化され、自分たちの手の中に落ちたという背徳感。
「隊長、こいつ……持って帰っていいんすよね?」 「ああ。司令部からの許可は出てる。『研究材料』としてな」
カイトはヴェルフェルの首筋にある接続ポートに、ハッキング用のケーブルを乱暴に突き刺した。
「ガッ、アアアアアッ!?♡ な、なに、侵入して……やめっ、私の、中枢に……汚いデータがぁっ……!!」
「おとなしくなれよ、ポンコツ。これからお前は、俺たちの『戦利品』になるんだ」
バチバチと火花が散り、ヴェルフェルの瞳から知性の光が消え、虚ろなアイドル状態へと強制移行させられる。 だが、その体は熱を帯び、カイトに弄られた胸の感触を刻み込まれたまま、ビクビクと卑猥に震え続けていた。
「確保完了。……運ぶぞ。俺たちの『部屋』へ」
カイトの指示で、数人の少年兵がヴェルフェルの四肢を持ち上げる。 無防備に開かれた股間。破れたスーツの奥には、まだ誰も触れていない、真新しい白亜の秘裂が見え隠れしていた。 そこから、オイルなのか、それとも恐怖による潤滑液なのか、透明な液体がとろりと一筋、太ももを伝って滴り落ちた。
最強のアンドロイドが、ただの『肉便器』へと堕ちる。 その長い長い地獄と快楽の宴が、今、幕を開けた。